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こんにちは!おなす君こと、おなすな先生です🍆
脳卒中・脳外傷・脊髄損傷・パーキンソン病などの中枢神経疾患では、
「もう一度、自分の足でしっかり歩きたい」という願いがいちばん多い相談です
近年の研究では、
「どんな内容で、どのくらいの強度で、どのくらいの回数を行うか」
が回復を大きく左右することがわかってきました。PMC+1
今日は最新のエビデンスをもとに、
中枢疾患の歩行リハで外せない“5つのポイント” をまとめてお伝えします。
※この記事は一般向けの解説です。実際のリハビリは、必ず主治医・担当療法士と相談して進めてくださいね。
① ゴールは「歩けるか」よりも「どれだけ歩けるか」
研究では、脳卒中後の患者さんが大事にしているのは
- 歩ける / 歩けない だけでなく
- 歩くスピード
- 歩ける距離(持久力)
- 日常生活や外出でどれくらい使えるか
といった“質”の部分だと報告されています。AHA Journals
そのため最近のガイドラインは、
- 「10m歩けたらOK」で終わらず
- スピード・距離・段差・屋外歩行まで含めて評価しよう
という方向にシフトしています。
「病室の中だけ歩ける」から、「駅まで1人で行ける」まで、
ゴール設定のレベルを一段上げることが大事です🍆
② 高強度×高頻度×高反復
──“とにかくたくさん歩く”がエビデンスに
近年のレビューや臨床試験では、
“高強度の歩行練習をたくさん行うほど、歩行能力が伸びる” ことが繰り返し示されています。PMC+1
🔍 最新エビデンスのキーワード
- 心拍数や自覚的運動強度(Borgスケール13〜17程度)を上げる
- 1回のリハで 数百〜1000歩以上 のステップ練習
- 週3〜5回以上を数週間〜数ヶ月
これらは「ニューロプラスティシティ(脳の可塑性)」を引き出す条件とも一致します。SpringerLink
🍆おなすな先生ポイント
・“安全の範囲で少しキツい”くらいの強度
・“たくさんの歩数”を
・“こまめに継続”
これが中枢疾患の歩行リハのベースになります。
③ 「歩きたいなら、歩く練習をする」
タスク特異的トレーニングが基本
最新ガイドラインでは、
「歩行を良くしたいなら、歩行そのものの練習を中心に」 と強く推奨しています。neuropt.org+1
🦵 具体的な練習の例
- トレッドミルでの歩行練習(速度や傾斜を調整)
- 屋外での歩行(坂道・段差・砂利道など環境を変える)
- 障害物またぎ・カーブ・方向転換
- 階段昇降・縁石の上り下り
- 目標物までの「タイムトライアル歩行」
筋トレやストレッチだけでは、
「実際の歩き方」まではなかなか変わらない こともわかってきています。
🗣おなすな先生メモ
「筋トレ=下地づくり」「歩行練習=仕上げ」
両方大事ですが、“どちらが主役か”を意識するとリハの質が変わります🍆
④ テクノロジーは“近道”ではなく“ブースター”
ロボット歩行・VR・ウェアラブル機器・FES(電気刺激)など、
テクノロジーを使った歩行リハの研究も急速に増えています。advrehab.org+2Taylor & Francis Online+2
⚙ よく使われるテクノロジー
- ロボット歩行(RAGT)
高反復のステップ練習を安全に行える。重症例の早期立ち上がりにも有効。 - VR・ゲーム型歩行練習
歩行スピードや距離の改善にプラス効果。モチベーションUPにも。neuropt.org - ウェアラブルセンサー/ロボット
歩数・スピード・左右差を客観的に測定し、難易度調整に活用。Taylor & Francis Online - バイオフィードバック・振動刺激
足裏や体幹に振動を入れ、バランス・歩行を改善する試みも。MDPI+1
ただし、どの研究も共通しているのは
「テクノロジー単体よりも、
“高強度・高反復の歩行練習”をどれだけ引き出せるかが勝負」
という点です。
🍆おなすな先生ポイント
「機械に乗れば勝手に良くなる」わけではありません。
テクノロジーは “たくさん安全に歩くための補助輪” と考えるのが◎。
⑤ 「脳の学習」を意識したリハビリ設計
最新の神経科学では、
歩き方を覚え直す=脳の中に新しい運動パターンを作り直すこと と考えられています。PMC+1
🧠 モーターラーニング(運動学習)のポイント
- 1回で長時間やるより、短時間×高頻度 の方が定着しやすい
- 同じことの繰り返しだけでなく、少しずつ条件を変えて練習 する
- 練習後の休息・睡眠が「覚え直し」の仕上げになる
- 完璧ではなくても、成功体験を積み重ねるほうが脳が学びやすい
🗣おなすな先生メモ
「頑張り続ける」だけでなく、
「練習→休息→練習 のリズム」をつくることが、
中枢疾患リハではとても重要です🍆
中枢疾患ごとの“ざっくり特徴”もチェック
🧠 脳卒中
- 片麻痺による左右差・バランスの崩れが大きい
- 高強度の歩行練習+左右差を整える工夫がカギPMC+1
🧠 パーキンソン病
- 小刻み歩行・すくみ足・姿勢の前かがみが目立つ
- リズム刺激・大きな動きを意識したエクササイズが有効フィジオペディア
🧠 脊髄損傷(不全麻痺)
- ロボット歩行やBWSTT(免荷トレッドミル)での反復練習が有用
- 残存している感覚・筋力を最大限活かすプログラムが重要neuropt.org+1
まとめ|「歩き直す」ことは、人生を組み立て直すこと
中枢疾患の歩行リハビリは、
- ゴールは「どれだけ歩けるか」まで見据える
- 高強度×高反復の“たくさん歩く”リハが基本
- 歩きたいなら、歩行そのものの練習を中心に
- テクノロジーは“高品質な歩行練習”を助ける道具
- 脳の学習(モーターラーニング)を意識した設計
この5つを押さえておくだけでも、
リハビリの見え方がグッと変わってきます。
🍆おなすな先生から一言
「歩きの回復には“時間”も“工夫”も必要ですが、
脳と体にはまだまだ“伸びしろ”があります。
焦らず、一緒に“歩き直し”していきましょう。」


